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2016年1月15日に開催された哲学カフェ

日時:2017年1月15日(日)13時〜15時30分
場所:サロンド冨山房folio

記録:哲学カフェ事務局

テーマ:コミュニケーション能力とは何か? Part 3
    コミュニケーションと環世界
ゲストスピーカー:井上円了哲学塾 一期生 五十嵐美加氏
                     荻島由希夫氏
進行形式: 前半 ゲストスピーカーお二人のお話(対話形式)
      後半 テーブルごとに議論

概要

【前半】
 コミュニケーションがうまくいかない場合について、理由をいくつかあげました。そこから「相手と自分に食い違いが生じると、コミュニケーションはうまくいかない」ということを理解し、食い違いが起こってしまう原因を分析する上で有効な「環世界」の概念を説明。「環世界」という観点から、コミュニケーションについて詳しく考察をしました。

 「環世界」とは、もともと生物学の概念。「すべての動物は、それぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、その主体として行動しているという考え(Wikipedaより)」です。
 今回は、この言葉を拡大解釈し、「一人ひとりの五感などの感覚は異なり、それを通じて認識した世界もまた異なる」と定義。そこから、自分の世界と相手の世界は異なることを前提に、自分の認識世界の範囲で考え・行動を変えることや「原則」を守っていくことでコミュニケーションを円滑に進めることができるのではないかとゲストスピーカーが提案しました。
 その際、ゲストスピーカーは「環世界は、自分にとっての世界そのもの。その外に出ることはできない。だから、自分以外の環世界について、本当の意味で共感したり理解したりすることはできない」という考えを示しました。しかし「環世界」という考えを提唱したユクスキュルという学者は、「認識外の世界でも認識・理解は可能だ」と唱えています。
  

【後半】
 環世界とコミュニケーションがどのように関係するのか、といった参加者の疑問から議論がスタートしました。疑問に対するグループの意見は以下の通りです。


・ひとりひとりの認識している世界は違い、コミュニケーションはその違いを知ることが大切であるから。
・環世界は、自分が見たり聞いたりしたことを自分の世界として反映していくことを繰り返していくことである。コミュニケーションでは、相手の言っていることを自分の世界に反映させると同時に、相手の言っていることを相手に当てはめることをするが、そこに食い違いが生じるとコミュニケーションがうまくいかなくなる。その原因を考える時に、環世界の概念を用いるとわかりやすいから。また、コミュニケーションにおいて、コミュニケーションがうまくいかないこと自体を認めることを大切である。


 また、もう1つの疑問としてコミュニケーションとはそもそも何かを話し合いました。


・コミュニケーションとは、生きていくための手段(ライフライン)である。
・自分のイメージしていることを完全に伝えることは不可能。
・コミュニケーションにも限界はある。相手の言っていることを完全に理解することは難しく、理解することが限界に達したとき私たちは「スルー」を選択することがある。しかし、それは必ずしも悪いことばかりでない。スルーによって、無理にコミュニケーションを図るより、相手との関係を良好に保ったり、自分を守ったりできる。


 本日のカフェで、参加者の一人である私は「相手との世界」の違いについて、普段以上に考えることができました。
 自分の認識している世界は相手とは違うことを知り、それを前提にお互いに、お互いの世界のことを理解しようとすることがコミュニケーションの基本です。
 しかし、100パーセント伝達、理解しようとすることは困難です。ですので、できるだけお互いの世界を理解しようと努力すること、食い違いが生じたときに正そうとすること、持っている世界の違いを認めあうことが重要なのではないかと思いました。