2015年11月8日に開催された第8回哲学カフェ

日時:平成27年11月8日(日)13:00〜15:00
場所:東京都千代田区神保町「サロンド富士房folio」
記録:哲学カフェ事務局

 本日は、ゲストスピーカー水城ゆうさん(作家・ピアニスト)による「親密な人間関係におけるコミュニケーションを考える」をテーマに哲学カフェを開催しました。

 カフェは、1. 自分と大切な人との関係の現状の確認のための議論、2. 水城さんのお話、3. 質問 4. 水城さんのお話を踏まえて思ったことを話うための議論という4部構成で進められました。

 最初に各個人にとっての大切な人はだれか、その人との関係はどうか、問題はないか、もっと良くするためにはどうしたらよいかといったことを参加者同士で話し合いました。
 私の所属するグループでは、主に、家族や友人を大切な人と挙げている人が多く、自分が何をしてほしいかが相手に十分伝わっていない、相手のしてほしいことが十分に理解できていなくてうまくいかないことがあるといったことが意見として出ました。
 その原因として「言葉にしていなくても理解しているだろう」、「伝わっているだろう」、「わかっていて当然」という考え・思いがそれぞれの中にあり、十分に言葉を交わしていないということが挙げられました。
 同時に、その相手を形作っているもの(文化・考え・信仰等)を理解する努力も必要ではないかという意見も出ました。

 その後、議論を踏まえ、水城さんから共感的コミュニケーションをもとにした相手との関係の改善・向上についてお話をいただきました。
 大切なことは、自分の中にある感情やどうしたいのか、どうしてほしいのかというニーズを事実や行動から理解して相手に伝えることです。
 そして、そのニーズを満たすことの責任は自分にあります。ですので、自分がどうしてほしいのかを伝えたうえで、相手がそのニーズを満たしてくれなかったとしても相手は悪くありません。そのニーズを別の方向で満たすことを考える必要があります。
 反対に、相手がどうしてほしいか伝えてきた場合にも、それを無理をして満たさなくてもよいのです。

 このように、感情・ニーズを理解し、それを相手に伝えることを日常生活の中に織り込むことで相手との関係は劇的に良くなるそうです。

 その後の質問では、「共感的コミュニケーションの具体的な日常の生かし方」や、「どうしても相手との関係がうまくいかない場合は距離を置く選択もあるか」等、さまざまな質問が出ました。

 そして、最後に水城さんのお話を受け、グループで思ったことを話し合いました。グループ内では、ニーズの種類とそれを伝えることについて主に話し合いがなされました。
 感情・ニーズは不満、悲しみや「〜してほしい」といったものだけでなく、満足、嬉しさや「〜してくれてありがとう」といったプラスのものもあります。プラスのものを積極的に伝えたり、プラスの言葉とともに「〜してほしい」といったニーズを伝えたりするとより効果的ではないか等といった意見が出ました。


 今回のカフェでも、活発に意見が交わされました。そして、考えるだけではなく、身近で実践的なテーマを設定したことで多くの方が日常で生かそうと、積極的に議論し、お話を伺い、質問をしていました。
 議論等をする参加者の方の顔もイキイキとしていて、中には気づいたことやお話で伺ったことを早速実践してみようと決心された方もいらっしゃいました。

 2時間という時間の中で、みなさん積極的にイキイキと参加してくださり、それぞれに気づいたこと、学んだことがあった様子でした。さらに、考えるだけで終わるのではなく、学んだことや気づいたこと、お話いただいた共感的コミュニケーションを、日常で実践していくことで、たくさんの人間関係を改善・向上したり、人間関係やコミュニケーションのことなどを更に考えることにつながれば尚良いと思います。