2017年3月26日に開催された哲学カフェ

1.日付 3月26日(日)

2.場所 神保町 サロンド富山房folio 

3.テーマ 日々の世界の作り方〜共創社会におけるパターン・ランゲージの活用方法を考える〜

4.ゲストスピーカー 花王株式会社 生活者研究センター センター長 宮川聖子

5.カフェの構成 

  1. ゲストスピーカーのお話
  2. パターン・ランゲージに関するワークシートの活用方法説明。共通のテーマで参加者ごとにワークシートの枠を埋めていく。
  3. 2の内容共有とグループディスカッション

6. ゲストスピーカーのお話内容概要

  1. パターン・ランゲージは、過去に建築・ITの分野で活用され、現在は創造社会においてみんなでよいものを共有しようという目的で使われる。例えば、宮川氏は「子育てと働き方の両立」について、パターン・ランゲージを用いて34のヒントをまとめ、本を創られている。
  2. パターン・ランゲージは、私たちの持つ「暗黙知」を「実践知(形式知)」にするためのものであり、コミュニケーションでも活用できる。
  3. ある問題があったときにそれが「どのような時に生じるか(状況)」「どのような問題が生じやすく(問題)」「どのように解決すればよいか(解決)」をワンセットとし、体系的に考えることで暗黙知を言語化できる。
  4. 自分の持っている情報を言語として表現することで、他の人とそれを共有することができる。

7. グループディスカッションの内容概要

  1. 参加者の1人の悩みを題材に、グループでワークシートを用いてパターン・ランゲージを作成してみる。それによって、その悩みがほかの問題にもつながっていることが見えてきた。また、同じ言語を使って参加者同士が状況・問題・解決を共有することで、様々な方面からものごとを見ることができ、様々な意見を出し合えた。その問題を持つ者、同じ問題を抱える者、その問題にかかわる当事者等さまざまな立場の人に気づき・理解等、それぞれにもたらしたものがあった。
  2. パターン・ランゲージを用いて、共通の言語で状況・問題・解決方法を共有することで、通常のコミュニケーションとは違った効果が得られた。具体的には、同じ言語で表現されるものを持つものには安心感を感じ、違う言語であらわされるものを持つものには新しい気付きを得ることができた。
  3. パターン・ランゲージは、相手と自分の溝を埋めるツールにもなる。例えば、建築主とユーザーという関係の間で使われる場合、建築主が専門用語を使って説明しても、ユーザーはその内容が理解できない。しかし、パターン・ランゲージを使って説明することで、ユーザーはその内容が理解できるだけでなく、自分の要望も建築主に伝えることができる。
  4. 自己紹介する際、パターン・ランゲージを用いて言語化することで、自分のことを上手に相手に伝えることができる。それにより、コミュニケーションを誘発することができる。

8. 参考資料

  1. 本カフェで用いたワークシート
  2. 参考文献

『日々の世界のつくりかた 自分楽し子育てしながら働くためのヒント』
慶応義塾大学井庭崇研究所×花王株式会社生活者研究センターJJP
※下記URLから無料でダウンロードできます。

http://www.kao.co.jp/lifei/pdf/report/hibino-sekaino-tsukurikata.pdf