2016年6月12日に開催された哲学カフェ

日時:平成28年6月12日(日曜日) 13時〜15時半
場所:サロンド冨山房Folio
記録:哲学カフェ事務局
テーマ:「コミュニケーション能力とは」
ゲストスピーカー:高橋 明彦氏/新妻 弘悦氏(順不同)
 両者とも東洋大学哲学塾の卒塾生で、2015年秋に行われた「井上円了の志したものとは何か」というテーマの作文募集で入賞された方です。
形式:ゲストスピーカーのお話を聞いたのち、参加者の方とテーマに対して意見交換をする。

内容:
 平成28年6月12日に東京都神保町cafe folioにて井上円了哲学カフェが開催されました。
 哲学カフェは、普段、あまりテーマにすることのない話題を、ゲストスピーカーのお話を聞いたり、集まった様々な参加者と話し合ったりすることで、自分の考えを深めたりする場です。

◆当日の意見交換の内容(3つの観点から)
(1)コミュニケーション能力とは何か?
 ゲストスピーカーの新妻さんは、必要とされるコミュニケーション能力とは単なる「会話」ではなく、「対話(懇話)」であるとおっしゃっていました。対話(懇話)とは、具体的な答えがない現代の中では、自分と違う意見を持った相手と価値観をすり合わせるようなコミュニケーションです。参加者内での話し合いでも、基本的にこの意見に賛成し、話し合いが進められました。
 また、例えば、生活の中で、
・私たちは満員電車で「自分の体に寄りかかってゲームをするのをやめてほしい」と心の中思う
・朝食の場で相手にジャムを取ってもらうために「ジャム」と単語で伝えたりする
といったような場面があります。
 しかし、相手にとっては思っているだけ、単語だけではわからないこともあります。このようなコミュニケーションで求められる察する能力というのもコミュニケーションの1つだと思います。

(2) 今の若い人はコミュニケーション能力がないのか?
 若い人たちのコミュニケーション能力が下がっているのではなく、あり方が変わっているではないでしょうか。現代では、昔より「個人」が大切とされる時代です。つまり、自分の人生を充実させられるか、どうやったら自分を守れるかを考える時代になっています。そのため、このように自分個人に重点をおく環境の中で主に生きている若い世代の人の会話などは、年代が上の人たちから見ると「コミュニケーション能力がない」と見えてしまうのかもしれません。

(3) では、どうやったらコミュニケーション能力を上げられるか?
 大切なことは
1. 相手に思いやりを持って接すること
2. 自分と相手は違うことを理解し、それを埋めるために努力することです。
 (2)の中で書いたように今は自分の充実が大事だという時代です。しかし、自分と相手は育った環境、考え、心の中、あらゆる面で違う存在です。自分に重点が置かれる世の中だからこそ、相手がどのようにしてほしいのだろうか、どうしたら喜んでくれるのかなど、「相手のこと」を考えることで相手と気持ちよくコミュニケーションがとれるようになるのではないでしょうか。

 以上のような感じで今回のカフェは話し合われました。

 私自身、2年前に就職活動を体験し、「コミュニケーション能力」について考えました。今の時代、多くの企業で新人にコミュニケーション能力を求めます。ですが、自分の中でそれはわかっていませんでした。各企業の担当者に質問しても考え方はバラバラでした。

 今回のカフェの中では、もちろん、コミュニケーション能力に対し、参加者ごとに思っていること、考え方はバラバラです。その中で、参加者たちとそれを言葉にして話していき、「コミュニケーションには、思いやりが必要不可欠である」ということに共感し、1つの考えとして自分の中に持つことができました。
 
 このように、哲学カフェでは、ゲストスピーカーのお話や参加者との意見交換を通して、自分の考えを作り、深めたり、さまざまな観点から物事を見ることで気づきを得たりすることができます。

・いろいろな人と話したい
・普段、人と話せないことを真剣に話し合ってみたい
・ゲストスピーカーのお話を聞きたい
といった人には特にお勧めです。

次回のカフェは、9月25日に開催する予定です。詳細は、日付が近づきましたらお知らせ予定です。ご興味のある方は、是非、参加してみてください。

2016年6月12日 哲学カフェ開催します!

次回のカフェの詳細が決まりましたので、お知らせします。

次回のゲストスピーカーは、井上円了哲学塾三期生の高橋明彦さんと、新妻弘悦さん。お二人は、「井上円了が志したものとは」というテーマで作文を書きました。その作文を書いた動機や意図についてお話を伺います。

自らの価値観と異なる価値観に遭遇したとき、対話を通して多様な価値観を学習・理解し、そこから自己の哲学(人生感・世界観)を養成することができます。それは、明治という国の在り方を模索する大切な時期を生きた井上円了が考えていた哲学とも一致するのではないでしょうか。

今回のカフェでは、対話とコミュニケーション能力について考えていきます。

1.日時
平成28年6月12日(日曜日) 13時~15時半(※終了時間が30分遅くなりました)

2.場所
千代田区神田神保町1-3 冨山房ビルB1
「サロンド冨山房Folio」 電話 03-3291-5153

3.参加費用
大人1,000円 /学生500円(ドリンク付き)

4.内容およびテーマ
『コミュニケーション能力とは』

5.ゲストスピーカー 

井上円了哲学塾三期生 高橋明彦氏/新妻弘悦氏

6.事前予約
電話/03-3291-5153  電子メール/folio@fuzambo-intl.com

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2016年3月13日に開催された第10回哲学カフェ

日時:平成28年3月13日(日曜日) 13時〜15時
場所:サロンド冨山房Folio
記録:哲学カフェ事務局
テーマ:『日本人の心』
ゲストスピーカー:東洋大学 吉田善一教授&アメリカ人禅僧 ミラー和空

事務局スタッフによるカフェ所感:
 3月13日の哲学カフェは、東洋大学教授の吉田善一教授と、アメリカ人禅僧のミラー和空先生をお招きして、お二人と参加者が対談する形式で行われました。今回のテーマは、「グローバル社会の中で誇れること、足りないことを考える」です。

 一般的に、日本人の誇れるものとして「真面目さ」「勤勉さ」「几帳面さ」などが、日本人に欠けているものとして「積極性」などが挙げられます。

 今回のカフェに参加することによって、私は、これらのイメージは正解ではあるけれど、完全に正解ではないと感じました。日本人が誇れるものは、確かに「真面目さ」「勤勉さ」「几帳面さ」と結びついてはいますが、それだけでは片付けられない深さがあると感じたからです。

 そもそも、「日本人らしさ」とは本当にあるのでしょうか。

 吉田教授は、日本人らしさの例として石田梅岩の「商人道」と、それを受け継いだ「近江商人の考え」を挙げられました。これは、「商売は自分のため、金もうけのためだけに行うものでなく、顧客のために行い、利益は社会のために還元するべき」とした考えです。

 「三方よし」(顧客、自社、社会すべてを満足させるために仕事をする)というのは、このことを表現した言葉であるということ。これは、今の日本人の仕事観にもよく表れていると思います。仕事は自分のためだけでなく、顧客や社会のためにするべきであり、その実現のために人の道を学ぶという考えは、今も伝統的に私たちの中に深く根付いていて、それが日本人の特徴の1つになっていると感じます。

 次に、生産現場の例を挙げます。

 自動車は日本の主要産業の1つで、日本人らしさ、日本文化の1つとしてよく挙げられる事柄です。生産現場では、ミリ以下の緻密な仕事、品質重視で仕事が行われています。

 また、「すりあわせ」ができることも、日本人の特徴の1つ。自動車はいくつもの部品を組み合わせて作りますが、各部品は、それぞれ担当者が違います。バラバラに部品を作っていても、部品を組み立てると、きちんと自動車になるということ。つまり、実際に組み立てを行う前でも、自分の作る部品が全体の中で、ほかの部品と組み合わさった際にどうあるべきかということを想像する力があるということになります。

 ところで、このような文化や日本人らしさは、どこから生まれてくるのでしょうか。

 例えば、上のような生産現場に外国人技術者を入れ、長い間その中で仕事をすれば、その外国人技術者は日本人と同じような仕事をするようになるとのこと。反対に、日本人が外国の縛りの緩い会社で仕事をすれば、縛りの緩い仕事ぶりになっていくとのことでした。

 そこで、「日本人という区分は意味を持つのか」という問いに立ち返ります。

ミラー和空氏が参加者に向けて「日本人であることを誇りに思うか」という問いを投げかけると、それに対して「誇りに思う」と答える方はたくさんいました。その理由は、豊かな土地であること、食べ物、文化など、様々でした。

 ところが、改めて「日本人らしさって何?」と聞かれても、なかなか答えられません。曖昧なイメージや答えはあるものの、突き詰めていくとカタチがなく、かつ存在するかどうかも曖昧になっていくようです。

 そこで私が感じたことは、「日本を誇りに思う理由は、今まで育ってきた過程の中で総合的によかった、幸せだったと感じていて、それを実感する舞台となったのが日本だったから」ということでした。

 アメリカで様々な国の方と過ごされた経験がある参加者は、「重要なのは、国の違いではなく、各個人の生い立ちの違い」と話していました。それが、文化的な違いなどと深く関係し、国ごとの分類や区別に結びついていくという見解です。

 日本人らしさは、確かにあります。具体的には、私たちが今まで過ごしてきた生活の中で学び、感じ、身に付けてきた「商人道」のような伝統であり、過ごしてきた環境であり、形成された性格でもあります。それが、現在時点では「真面目」「几帳面」「品質主義」といった形で具現化し、ある場面では「良い点」、ある点では「悪い点」といわれているのではないでしょうか。

 もしかしたら、この先、環境が変化し、日本人らしさの定義も変わるかもしれません。しかし、日本人らしさが環境、伝統等である、すなわち過去と現在の要素を織り合わせてできるものである以上、現在や未来が変化しても、過去から受け継がれたものがすべて消えるわけではありません。
 これからも同じような形で徐々に「日本人らしさ」は形を変えていくのではないでしょうか。

 

2016年3月13日 哲学カフェ開催します!

次回のカフェの詳細が決まりましたので、お知らせします。次回のテーマは「日本人の心」。次回は、東洋大の吉田先生と、フリー禅僧のミラー和空さんがお話します。そのあと、ミラーさんがあのサンデル教授のようにファシリテーターをされるとのこと。はじめての試みですが、これこそ哲学カフェのスタンダードな形式ですので、ぜひ体験してみてください。

1.日時
平成28年3月13日(日曜日) 13時~15時

2.場所
千代田区神田神保町1-3 冨山房ビルB1
「サロンド冨山房Folio」 電話 03-3291-5153

3.参加費用
大人1,000円 /学生500円(ドリンク付き)

4.内容およびテーマ
『日本人の心』
「和の人間学」の著者である東洋大学の吉田善一教授とアメリカ人の禅僧 ミラー和空さんをお迎えして、グローバル社会において日本人が誇れること、日本人に足りないことを考えます。

5.ゲストスピーカー 
東洋大学 吉田善一教授
アメリカ人禅僧 ミラー和空

6.事前予約
電話/03-3291-5153  電子メール/folio@fuzambo-intl.com

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2016年1月17日に開催された第9回哲学カフェ

日 時:平成28年1月17日(日)PM13:00〜15:30
場 所:サロンド冨山房Folio
記録:哲学カフェ事務局
テーマ:『命の始まりと命の終わり〜生殖補助医療と尊厳死・安楽死について考える』
ゲストスピーカー:戸松義晴先生(浄土宗心向院住職・国際医療福祉大学特任教授/東洋大学文学部 現代に生きる仏教を講義)

内容:

【形式】
ゲストスピーカーである戸松義晴先生の講義を聞いた後、テーブルごとに意見交換

【タイムスケジュール】
13:10〜 スタート ゲストスピーカーの話(スライドを見ながら)
14:30〜 休憩
14:35〜 各テーブルにて話合い(5テーブル)※ゲストスピーカー戸松義晴先生が各テーブルを回り 意見交換
15:15〜 宗教界への質問・要望 ※戸松義晴先生より「宗教界に対する批判や要望を聞きたい」という要望があり、4名の方が意見を述べた
15:30頃終了

【戸松先生のお話】
1. 仏教における死生観(五蘊仮和合/仏教における生の概念/仏教における死の概念/輪廻転生/人のいのちの始まりをどうとらえるか/生命科学への態度/体外受精の許容度/代理出産の許容度/法律整備の賛否/事実告知と出自を知る権利)
2.生殖補助医療について(宗教界での議論/生命倫理問題への宗教教団の対応に関するアンケート調査結果/生殖補助医療に関する調査について/人口妊娠中絶について/出生前診断について/商業化する海外の代理出産/卵子凍結新について/法制化について/事実告知と出自を知る権利)
3.週末期医療と尊厳死・安楽死(尊厳死と安楽死/患者・家族の思い/死に直面した時、宗教は心の支えになるか/尊厳死立法に宗教界は…/法制化の問題点/延命治療の希望/尊厳死の許容度・安楽死の許容度/最後の選択権法案/「もう死にたい」)

【某テーブルで話し合った内容】
今と昔を比べると、今は「死」が生活から離れてきている。人とのつながり方も変わってきているが、それは社会制度上、ならびに家族のあり方の変化。「個人」に焦点があたったのは近代で、それ以前は家制度があった。そもそも「いのち」とは自分のものなのか、社会のなかの自分なのか。他人主体で考えているのではないか。

【宗教界に対する批判や要望】
・お坊さんは、死後のことのみではなく、人世の生き方を説いてほしい。
・残された家族の生き方についてお話しするには、その家族と日頃から関わる必要があるのでは。

現代版 哲学堂の歩き方

 今回は哲学カフェ開催のお知らせではありませんが、当カフェに関連する情報をお送り致します。

 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、中野区にある「哲学堂公園」は春は桜の名所でもあり、また普段は思索にふけりながら、ぶらぶらするには恰好の散歩道でもあります。

 中野区で昨年から哲学堂公園をより認知してもらうために『東京人』の増刊号で「哲学堂公園」が特集されています。哲学堂公園の特集ではありますが、井上円了についても各方面から記事が掲載されておりますので、大変興味深いものがあります。井上円了とは当カフェに支援をいただいている東洋大学の創立者でもあります。書店にお立ち寄りの際は手に取ってご一読下されば幸いです。

 

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東京人2016年2月増刊

  なお、次回の哲学カフェは3月13日(日)を予定しております。詳細は後日連絡をさせていただきます。

 

2016年1月17日 哲学カフェ開催します!

次回のカフェの詳細が決まりましたので、お知らせします。

今回のカフェでは、人の誕生と、やがて誰もが直面する死をテーマに、参加者のみなさんと一緒に話し合いながら、命の問題について考えていきます。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご参加ください!

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  1. テーマ:命の始まりと命の終わり〜生殖補助医療と尊厳死・安楽死について考える
  2. 日時:平成28年1月17日(日)13時~15時
  3. 場所:千代田区神田神保町1-3 冨山房ビルB1
  4. 参加費用:大人1,000円 /学生500円(ドリンク付き)
  5. ゲストスピーカー:浄土宗心向院住職 戸松義晴氏
  6. 事前予約:電話/03-3291-5153  電子メール/folio@fuzambo-intl.com